「こないだ○○の家に偵察に行ってさ。
あいつらが俺にどういうテを仕掛けているのか探ってみたんだよ♪」
なにやら得意げに語り出すそいつ。まわりはキョトン顔。私は興味なし。
同じサークルで私と同じ立場の人間は、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「あいつら俺に隠してたノートがあったんだよ。
俺、そーっと見ちゃったんだけどさあ。何て書いてあったと思う?
ねえ、何て書いてあったと思う?」
葬儀はうるせえな。なにが隠しノートだよ、二十歳過ぎの男が。
「あいつらさ、今度の花火大会に俺のモトカノを連れてきて、
俺の目の前でイチャついて見せて、
俺の精神を混乱させる!って計画を立ててたんだよね♪」
・・・・・。
「そんなテに俺がひっかかるとでも思ってるんだかねえ。
俺の精神がそんなに弱いとか、侮りすぎだよ♪」
・・・だめだこいつ。
私はもうため息しか出なかった。
精神が強いとか、そっちかよ。
小学生レベルのスパイごっこじゃねえかよ。
ホントお前らは何がしたいんだ?
今年のアタマに成人式の会場までお前を送って行ったのは幻覚だったのか?