なんという事だ。車のフロントガラスを叩き割り、
5人のヤンキーを素手で倒す格闘兄弟の兄を、
たった3秒で負かした天性の喧嘩野郎が、
ずんぐりしたお祭り男に負けているというのか。
空手より喧嘩より、祭りが強いのか?
そんなバカな冗談さえ浮かんでくるほど、
我々のなかでは衝撃が走っていた。
そして・・・・プレス機が自動車を潰すかのようにゆっくりとした感じで、
お祭りキメさんの腕が喧嘩トマさんの腕を押さえ倒していた。
葬儀も勝負、ありだ。
なにやら壮大な結末を見た気がしていた。
私やリューヤはもちろん、負けたトマさんでさえ
敗北感だの悔しさだのは微塵もなく、
ただキメさんの腕力の凄まじさに興奮していた。
挑んだとはいえ、心のどこかではいつもギャグを連発してくれるこのお祭り男に
勝ってほしいと思っていたのかも知れない。