「とにかく来てー!いまA子呼んでくる!」
そういうと、奥さんは走り去った。
やれやれ・・・。ふと旦那の方を振り返ると、旦那は明らかに目が死んでいた。
どうやら旦那の方も、今回の騒動にはウンザリしているらしい。
だったらまあ、バックレちまおうか。
そう思って、私はまた売り場のスペースを歩きだした。
本来の目的はそっちだし、騒動のためにワザワザ会場を立ち去る必要もない。
葬儀から歩きだして5分もしない時、向こうから見覚えのある痩せこけた男が近づいてきた。
「おや久しぶり。」
声をかけると、男はペコッと頭を下げた。
「実は今日、やっかいな連中が来てましてね。」
と、なにやら相談めいたことを話しかけてきた。
予想どおり、先ほどの借金に関する話の逆バージョンだった。
奢ってもらったはずが、口喧嘩したら借金扱いにされてしまった。
対価となる物を差し上げたが、さらにカネも払えと言われて困っている。
今日、楽しみにしていたフリマに来たら、追いかけてきたのか、そいつらもいる。
きっと絡まれるに違いない!といった話だった。
やれやれ・・・・コッチはコッチで相変わらずだな。
意外だったのは、この男がA子の彼氏になっていたことだ。
だからこういう話をしてきたんだろうが・・。